木城ゆきと『銃夢 Last Order 8』

迷走するSF漫画も8巻目。早いもので。
カエルラの過去語りメインを久々に愉しく拝読。

しかしこれ銃夢じゃなくていいよな。

どうも『Last〜』は出足から仕切り直しというより根本的に辻褄が合うように改ざんしちゃった様なな印象というか往生際の悪さみたいのがどうにも拭えない。
『水中騎士』の終わらせ方といい、明らかに集英社から横槍が入りまくってそう(マイルドなオタ向き仕様とか残虐描写の減少とかね)だし、ああぼくは何に怯えているのだろうか、つまり木城氏はもしかして『銃夢』ブランドじゃないと描いちゃダメとか言われてんじゃねえのかってことなのですよ。
最初は正直『銃夢』の世界観を捨てたくない描き手サイドの問題なのかと思っていたんだけど、どうもそれじゃあ説明が付かないような気がする。
別の近未来SF吸血鬼ものとして充分成立するだろうネタを、わざわざカエルラの不死を説明するネタとしたのも考えてみると妙というか。別に不死の人いっぱいいるし。

散漫なネタを取りまとめる空中感覚は巻を進める程に快刀なので、非常にもったいなく感じてなりません。個人的にはかつての人を人とも思わない殺伐とした風情を取り戻してほしいものです。
木城氏は根本的に人体愛に欠けるところがあるのですが、返ってその辺がクズ鉄町の面白さに繋がってたような気がするのです。『Last〜』以降の同じような要素は妙にデジタルな感じがするというか。よくわかんないけど。
今日は眠いのでここまで。