中山昌亮『不安の種+ 1』
すっかりわすれてた。
さて、ぼくらの大好きな『不安の種』が帰ってきたぞ。
やったー! やったー!
超怖えー!!
「エピソード一個一個のネタだけで普通に相応の作品が描けるハイコストな恐怖漫画」故の連載終了か、という捉え方だったので再開とても嬉しいです。もう、一ネタで単行本一冊とかやられるとかったるくて読めなくなっちゃったもの。
旧シリーズは全打席全力投球みたいな惜しげもなさでしたが、「プラス」は何か新しい機軸が感じられて、より奥行きがとんでもないことになっており、色んな意味でときめきまくりです。
エピソード同士の微妙な連続とかわりと目立った要素なんですが、「プラス」の何がとんでもないかといえばその「ハイブリッドさ」がとんでもないです。
好例としてエピソード#6『早朝の珍事』ですが、「若者が早朝の街を徘徊していたら乳児の鳴き声が聞こえるので行ってみると建物と建物の細い隙間で『何か』が鳴いていた」という話です。
旧『不安の種』は分類上心霊ものに該当していたのですが、これは登場する「なんだかわからないもの」が全て物理法則を超えた形で出現していたからです。
しかし上記エピソードの『何か』はフリーキーでこそありますが、構成要素全ては「現実」の枠を超えない代物であり、それ故に発生する不快な奥行きと中山氏の「異常に説得力を発揮する」画力と相まってものすごい暗闇が発生するわけです。
そしてその最たるハイブリッド、白眉と言えるエピソードが『#28.巣』であります。ここまでまとめて来るのは反則です。ぜひご一読を。
今のところ国内の恐怖漫画では『不安の種』が頭一つどころかぶっちぎりで先頭を突っ走ってると思いますので、失速せずどこまでも突っ走って欲しいものであります。つーか『不安の種』だけあればいいんだよ、ってのは真実かもしれないよね。
あと、「小3の弟、少年ジャンプ。好きなマンガはワンピースとナルト。5歳年上のお兄ちゃん、チャンピオン。好きなマンガはバキ」みたいな家庭でだな、うっかり弟が手にとってものすごいトラウマをこさえていたりするんだろうね。すごいね。
コミックボンボンの増刊鬼太郎特集を読んでいたら確かに95%は鬼太郎だったんだけど巻末に思い切り日野日出志の読切が挿入されていてとんでもないトラウマを刻まれていた小3が昔神奈川県にいたとかいうしね。
…あれ絶対わざとだと思うですよ。
- 作者: 中山昌亮
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2007/07/06
- メディア: コミック
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