志村志保子『ミシンとナイフ』

出張先の古本屋にて発見。これで現存する単行本コンプリートでおれ大喜びなのだけれど、この喜び、誰とも共有できないので非常に残念です。
で、一応本当にそろったかどうかさらってみた過程で(揃っていた)、志村さんが1970年生まれだというのを知って、いろいろ納得。
『ミシン〜』はかなり落ち着いた作風ながら手加減なしの志村節で、例えば「己の無邪気さが人を傷つけていたことを知ってしまう」とか「発生してはいけない恋が静かに封じられる」とか「恋心が罪の意識を乗り越える瞬間」のような脆い儚いテーマに重ねられる取るに足らない刹那の惜しげもなさときたら、さすが初期短編集とばかりの全開ぶり。『女の子の食卓』ではかなり抑えられていたのだな。

現在の作風に比するとあこぎに感じてしまうくらい、肝になっているコマがうつくしいのです。まいりました。

わかり易い大きな声なんて、別に聞きたくはないのです。

ゾンアマ様でマーガレット時代の2冊がプレミア中。売れたら再販するかもしれないし、とりあえずみんなたくさん『女の子の食卓』を買うといいと思います。

ミシンとナイフ (マーガレットコミックス)

ミシンとナイフ (マーガレットコミックス)

ブザー、シグナルゴーホーム (マーガレットコミックス)

ブザー、シグナルゴーホーム (マーガレットコミックス)