西尾維新『ネコソギラジカル(中)赤き征裁vs.橙なる種』


裏タイトルは『西尾維新の最終回殺し』ですか。
戯言シリーズ最終巻の中巻です。中途半端なタイミングに書きますよ。

相変わらず凄まじい空中感覚といいますか、大量のキャラ立てとアクロバティックな展開。
自由度の高い世界設定でまったく拡散しないストーリーラインと、凡愚はただただ大口開けて驚愕するのみというか煩悶するというかまあいいや。

上巻は終幕に向けての土台作りのような本でしたが、中巻で非常に目に付いたのが「西尾君は最終回への可能性を逐一潰して回っている」です。
ネタ割り回避の為に極力詳細は書きませんが、ある程度一般的な予想の範囲で考えられる展開への下地を丁寧に「壊す」とか、ここ一番で出したいキャラの扱いについてとか、どうもそれらが「先に予想つきそうな部分は全部潰しておきましたから」という作者の表明の様に思えたのです。しかしそれは同時に安易な方向への退路が一切消滅するということでもあり、なんとも西尾維新らしい作法だなあといいますか。

そうなると敢えて残したいくつかの大ネタもまた、読者の予想の範疇では書きませんということになるわけで。もう、ときめかずにはいられません。


期待を上回るおしまいであると嬉しいですねえ。


あと、やっぱり骨董アパートはラブひななのかしら。

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)