高橋慶太郎『オーディナリィ±』
高橋さんは絵柄の進化が逆走していてかっこいい。アフタヌーンだったかシーズン増刊だったかで連載読んでたけどヨルムンガンドの人だとは気付かなかった。こういうの結構多くてマンガ読みとしては致命的かもしれぬ。でも岩原裕二は激変しすぎだ。オネアミスとエヴァだってつながるまい。なぜぼくは自己弁護しているのか。
比べると現在の方が圧倒的に大味かつ粗雑なのに面白い。『オーディナリィ』は端正な分こじんまりしてる様に感じる。
と、なると意図してデッサンを崩しているわけで、なかなかどうしておっそろしいね。バルメ万歳。
- 作者: 高橋慶太郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/11/19
- メディア: コミック
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伊藤悠『皇国の守護者 5』
高橋慶太郎の新刊にびっくりして『皇国の守護者』をスルーしてしまい、次の日慌てて買いに行ったらなんか最終巻。
やっぱり世間評の「原作より面白い」ってのが気にくわなかったのかなあとか身も蓋もないことを思ったが、関連記事をざっくり洗ったところ原作者やや難あり、みたいなのを読んで納得、というか原作周辺に漂うなんとなく「手を出さない方が無難ですよ」みたいな風情に納得がいった。
しかし過日の薔薇乙女といい、最近こんなん多い。ハチクロ初期とか、クオリティにも経済にも実はなんの意味もないのかもしれませんね神様。
皇国の守護者 5 (5) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)
- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/11/19
- メディア: コミック
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『スターダスト』
あっさりしたタイトルとファンタジーげというよりメルヘンな風情であまり大したヒットにはなってなさそうだけど、良作。満足。
デニ郎のブラジル再来と見紛うヒーローっぷりとミシェル・ファイファーのドロンジョっぷりとか色々素晴らしいのだが、なにがすごいかってそこかしこに溢れる「ニール・ゲイマンっぽさ」であった。
このゲイマン感、彼のコミックないし小説の読者ならある程度ニュアンスが通じるんじゃないかと思うんだが、これがなんつーか実に言語化しにくい。
ベースは結構正当なおとぎ話の体裁なのに実にこう安心できないというか陶酔できないというか、例えば7人の兄弟王子が王位継承権をかけて互いに争っているという王道中世ファンタジー設定に嘘はないんだけど、本当に7人全員が純粋かつ自己中心的に王位を狙って真っ向からぶっ殺し合ってたまに本当にぶっ殺されるのになんか共存している、みたいな作りは実にゲイマンっぽいと思うんだけれど。
思うに、ファンタジーというジャンルが持ってる陶酔じみた現実逃避要素バリバリな世界観に、こってり悪意とか冗談とか諧謔とか皮肉とかいじわるを満載する、『サンドマン』の夢と悪夢のパラレルみたいな「揺れ」がゲイマン感の正体なんじゃないだろうかね。きもちわるきもちいい。
バイオハザード3
なんかもう天変地異で地球なんかさっくり滅んじゃって気に食わないやつとか皆殺しで、荒廃した誰もいない地球を武器担いであてもなく流離いたいなあとか、少なくとも中学生のおれさまとP・W・S・アンダーソンが夢想していたのは間違いないんだけど、この痛フルな妄想はどのくらいポピュラリティがあるのかなあというのが最もぼくの心に突き刺さったことでありますよ。
ねえねえ、みんなもこんなばかなこと考えてんの?
シリーズ最大に女の子たちが小奇麗で、故にミラジョボ姐を初めて綺麗な人だと認識することに成功したというのと、アシャンティの尋常じゃないおいしいところさらいっぷりと、カメラワークがガチャガチャしていて見づらいってのと、投げっぱなしな落ちを含めて今回も見事な「ゲーム原作映画」でした。
ほら、メタルギアの劇場映画が映画じゃなかったら怒っていいと思うけど、バイオハザードの映画がちゃんと映画だったらもうバイオじゃないじゃん。お化け屋敷にストーリーないでしょ?
もうミラ×アリスの洒落にならん人間性剥奪っぷりとか絶対ゲームキャラの暗喩に違いないのですよ。
スーパーマリオの落ちたら死ぬ谷の底には何万ものマリオの死体が積み重なってるって話と塹壕にいっぱい捨ててあるミラ姐がオーバーラップして仕方なかったさ。
西尾維新[不気味で素朴な囲われた世界]
さっき読了。
かつて職場に放置しといたファウストに載ってた前作『きみぼく』をうっかり読んだ京極ファンの後輩女子(生理的にオタクが嫌い)に、大変不愉快な小説であるとものすごい苦情を受けたことがあるのだけども。
彼女の不快感は全て前作の萌え要素に対してなんだが、個人的に小説全体の不健康というか病的な風情(故に不健康な、病的な萌えという言い方も出来る)がすごく不快だったんではないかなあ、という感じがする。じゃなきゃなんであんなに怒られるのか。
しかし、ぼくには前作も『ぶきそぼ(適当)』も、読んでて非常に心地よいのだから困ったものだ。
オタ的な快感と不快感や生理的な嫌悪感と好感、相当に不愉快な道程と手段、健全と不健全の裏返し。「萌えキャラ殺し」とかその先兵なわけで。「前半の萌えで身悶えさせておいて後半でその身悶えの気持ち悪さをあげつらう」とかね。それでいて着陸先は半端なくギリギリ「ピカレスク」「トリックスター」とは呼び難い境界に当ててくる。
「この不快さがたまらなく快い」という頭の悪い比喩にならざるをえないんだけど、やっぱり気持ち悪く感じる人にはもうちょっとアレなくらい気持ち悪いと思うんだな。西尾節にはある種の慣れがいるし、キャラから文体からあまりにもリスキーに過ぎる。
でも個人的には戯言、人間、りすかと並べても一番心地よいシリーズなのだと思っているんだが、今書きながら理由に気がついた。
エロ度合いが一番丁度よいからだ。
ワンモアろり先輩でお願いします!!
- 作者: 西尾維新,TAGRO
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地元TSUTAYAの『ヘアスプレー』公開特設コーナーにジョン・ウォーターズ先生の『ヘアスプレー』がないことについて小一時間。
『ダーティ・シェイム』に関しては、日本公開されるまで我が生涯を賭けて。
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