中島望『ハイブリッド・アーマー』


先月出た『地獄変』は未読なのですが。
中島望と言えば、極真空手使いの高校生がいろんな武術を使う不良集団を空手でやっつけるデビュー作『Kの流儀』以降、その溢れんばかりの中学生マインドを原稿用紙に叩きつける様な作風でぼく的に御馴染みです。

遺伝子操作でハチ人間に改造されたケンカ高校生が、知らないうちに昆虫ミュータント戦争に巻き込まれる話、なのですが、兎に角設定からプロットから全てにおいて荒い
無理のある設定からやってることの壮絶さの割に危機感のまるでない筆致等、突っ込みどころは満載だし、文章技術自体もものすごい低レベル。まるで脳汁過多な中学生が勢いだけで書いちゃった様な作品です。「商業レベルでこんな小説が読めるなんて」と思うか「商業レベルでこの小説はないだろう」と思うかと言えば社会的には後者の反応が正解なのでしょうが。
しかし誤解なき様、褒めてます。中島望の切迫したルサンチマンというか、かつてこういう感覚に親しかった身としてどうしても捨て置くことが出来ません。この人の「中坊力」といいますか、ある種芸の域に達していると思うのです。
正直決して面白いと思って読んではいないのですが、それでも何故かどういうわけだか、新刊が出るたび感じる求心力がなくなるまでぼくは中島望を手に取り続けることなのでしょう。
さ、『地獄変』買わなきゃ。

ハイブリッド・アーマー (ハルキ・ノベルス)

ハイブリッド・アーマー (ハルキ・ノベルス)